あさかホスピタル副院長新国 茂

新国 茂

あさかホスピタル創立五十周年記念に寄せて

あさかホスピタルの創立から五十周年、誠におめでとうございます。

私は平成四年七月に赴任し、本年で在籍二十一年目になり、私の医師としての履歴の半分以上は当院での勤務となりました。この間、佐久間 啓院長の指導力による病院改革は多岐にわたり、ここで全てを振り返るのは困難ですので、最近の十年間の私が関与した主な出来事などを中心に振り返り、御挨拶と致したいと考えます。

 

電子カルテについて

平成一六年末からの電子カルテの導入はあさかホスピタルにとりまして特筆すべき出来事と言えましょう。当時は全国的にも精神科病院での電子カルテの導入は少なく、大阪の(株)ソフトフェアサービスと協力をして、ある意味では手作りの電子カルテを作り上げたことが思い出されます。この電子カルテにより、情報の共有や記録の充実が可能となり、まさに精神科医療の大きな進歩とも言えると共に、電子カルテ無くしては真の意味でのチーム医療は成しえないと考えます。現在では一般的となった電子カルテの導入も佐久間 啓院長の先見性と英断と言えましょう。

 

最近の医師の異動について

ここ十年間に短期間の勤務を含め、多くの常勤医の異動がありました。主な先生では吉島哲也医師の開業、医局長の宗像俊一医師が非常勤へ、小林恒司医師の退職などがありました。その都度、診療体制の大きな変更を余儀なくされ、苦労した思いがあります。特に平成元年から長きに亘って副院長を務められた高橋志雄先生が平成二十三年七月末に非常勤になられたことはあさかホスピタルにとっては大きな損失でありました。その前後、かつて常勤であった、熊坂忠則、渡邉 理両中堅医師のお二人が戻ってこられ、診療体制をかろうじて整えることが出来、また、従来からの課題であった世代交代も徐々に可能になって来ているところであり、このお二人の活躍には大きな期待が寄せられている所であります。あさかホスピタルグループは県内の精神科病院では最も大きな組織であり、更に多くの常勤医の確保が今後の大きな課題と考えます。

 

後期研修医について

当ホスピタルではここ数年間、院長の出身母校である慶應大学の研修病院として後期研修医が交代で勤務されており、研修医の先生方の活躍が大きな特徴と言えます。また、平成二十一年からは水野雅文東邦大学教授のお計らいで同大学の研修医も勤務されるようになり、診療の大きな役割を果たして頂いております。一方では、福島県立医科大学からの研修医は大学側の事情もあり、現在は欠員となっており、今後を期待する所であります。

 

外来の診療体制の変更について

平成二十四年六月から原則として外来診療は午前中のみに変更となりました。患者サービスの点からは後退とも言えますが、マンパワーの問題、入院患者さんの診療の充実、各種委員会や研修会などの充実などから、止むを得ない判断と考えております。

 

日本医療機能評価受審について

平成二十四年八月に三度目の医療機能評価を受審し、病院スタッフはもちろん、私にとりましても大きな試練でありました。幸い、診療部においては森 由紀子医師を委員長として若手の医師方が中心的に活躍をして頂き、しっかりと受審することが出来たことは大きな前進と言えましょう。医療機能評価に関しては初回の受審から十数年間、私にとりましては大きなストレスではありましたが、精神科病院の質の向上という面からは大きな意味を持つもので、今後も大きな指標となるものと考えております。

 

今後のあさかホスピタルと今後の自分の有り方について

今後もあさかホスピタルには大きな課題が考えられます。主なものでは厚生労働省による精神科病院の医療体制の変更、入院患者の高齢化による退院促進の困難さ、難治性患者の処遇、小児精神科医療などが挙げられますが、佐久間 啓院長の先見性と指導力、病院スタッフの結束力から、今後も順調に克服されるものと考えます。

私事ではありますが、年齢的な問題などから今後とも副院長としての職責を担うことは如何なものかと考える昨今でありますが、可能な限りのお手伝いをさせて頂きたいと考えております。また、今後のあさかホスピタルにとりましては多くの若手の学識、見識を備えた先生方の活躍が必要と考えると共に大きな期待をする所であります。これからのあさかホスピタルの更なる発展を祈念しながら御挨拶と致します。