創立50周年を迎えて
あさかホスピタル創立50周年、誠におめでとうございます。
この記念すべき年に、多くの職員の皆さんと共に誇りを胸に勤務できますこと心から感謝いたします。
私は、平成2年4月に入職いたしました。あさかホスピタルの50周年は、私にとっての20周年という思いがあります。あさかホスピタルの基本理念である「愛情・奉仕・和・進歩」は、組織の一員として行動するうえでの明確な目標であり、判断に迷った時にいつも自分が立ち返る精神的な支えになっています。
院長先生が就任されてからこれまでの20年間、情報の一元化・共有化を目指したカルテの電子化、ストレスケア病棟・認知症治療病棟等さまざまな機能を有するA棟、全個室のスーパー救急病棟を有するD棟の新築、B棟・C棟・本館の改修に伴う新たな事業展開、ささがわプロジェクト、患者様への関わりの基本ツールとして統合型地域精神科治療プログラム(Optimal Treatment Project)の全職員研修、今年で3回目の医療機能評価受審、10回目の開催となるあさかフェスティバル等々、様々な取り組みが継続されとても早いスピードで変化し続けています。改めて、あさかホスピタルの先進性と実行力を実感いたします。
この流れのなかで、私は「ささがわプロジェクト」の地域支援システムから学んだ、長期在院患者様の退院支援プロジェクトに関わることが出来ました。医局の先生方をはじめ、患者様の支援に関わる全ての専門職種の方々と試行錯誤しながらプログラムを検討し、定例会議・ケースカンファレンスを繰り返し実施してきました。プロジェクト開始から3ヶ月目、30年以上入院生活を送られてきた3名の患者様が退院されました。この一連の関わりから、長期入院の患者様の生活のしづらさとは・家族との関わりとは・地域で生活することとは・支援することとは…それぞれの何なのかは、精神科でなければ経験できない感覚であり、そこから多くの事を学ばせていただいたと思っております。
このプロジェクトは形を変えながら現在も継続されており、多くの患者様が退院し地域生活を送っています。今後、地域生活を維持するための支援の充実がより一層求められる中、看護の役割も大きく変化し、医療のみならず精神保健・福祉サービスの知識、精神科看護師としての幅広い視野と技術がますます必要とされていくことでしょう。
今、ここに半世紀が過ぎ、次の半世紀を迎えます。患者様の笑顔のために、私たちに何が必要とされるのか、何を学ばなければいけないのか、個人・チーム・組織それぞれの立場と役割で、「愛情・奉仕・和・進歩」の新たな研鑽の日々が始まります。